シングリッシュは未来語かもしれない

シンガポールに初めて来た時、

それまでにアメリカやカナダで生活した事があったので、

言葉に関してはとくに心配はしていませんでした。

英語圏なんだから、と。

 

その考えが甘かったことにすぐに気付かされました。

シンガポール英語圏なのではなく、

英語圏であり、中国語圏であり、マレー語圏であり、タミル語圏なのです。

そして、それはありありと話されている言葉に反映されています。

ここでの英語はいわゆるシングリッシュと呼ばれ、

訛っているだけでは済まされない変化球な英語になっていて、

理解するには集中力と慣れが必要でした。

 

シンガポールに暮らし始めて数年後にアメリカ人の友人が出張で来た際、

友人は理解することを放棄して私が通訳してあげた時は自分の成長を感じられました。

とはいえ、シングリッシュに影響されるまいと心では常に思い、

もっと普通の英語を話せばいいじゃないか、と思っていました。

 

ところが、多和田葉子さんの「地球にちりばめられて」を読んだ時、

もしかしたらシングリッシュは発展系で、

未来語なのかもしれないと、見る目がガラっと変わりました。

 

言葉はあくまで手段であり、

伝わればいいという点に特化して、

その地域に合った言葉になっていることが大事なんだと。

だからアメリカ英語やイギリス英語じゃなくて、

ここではシングリッシュである必要があるのだと。

中華系、マレー系、インド系、その他の外国人、みんながわかる言葉。

そして、あることを思い出しました。

 

2020年の夏、

コロナ禍になってしばらくしてシンガポール政府がマスクを配布し始めた頃、

そのマスクの置いてある場所が検索できるWebサイトを見て衝撃を受けました。

Mask Go Where、という名前のWebサイト。

こんな名前ありなんだろうか、、、と、しばらく画面を見つめたことを覚えています。

英語の文法は無視し、

まさにシングリッシュ的で、

みんなに伝わるようになっているこのタイトル。

これが政府のWebサイトなのかと思うと、

国民に寄り添っている政府なんだな、と改めて思いました。

日本をはじめ、世界でこれからきっともっと移民が増えていく中で、

こういった言葉の柔軟な発展ができたらスムーズに行くんじゃないかと思いつつ、

できたとしても、言葉の発展には時間がかかるんだろうなぁ、と思います。

 

最近、夫の母国語を習い始めました。

次にどこに住むかもわからないけれど、

たぶんそう遠くない将来に住む国の言葉。

夫の家族も友人も小さい子たちを除くとみんな英語を話すことができるので、

モチベーションを保つのが難しいですが、

新しい言語を勉強するという久しぶりの経験は楽しいです。

次に住む国が英語圏じゃなかったらその国の言葉も覚えないとですが。。。

 

言葉の発展、早急にお願いしたい!笑